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Key Questions
Q1:総合病院における精神科の役割とは?
Q2:総合病院における精神科リエゾンチームの重要性とは?
Q3:リエゾンチームにおけるOTの役割とは?
はじめに
総合病院の精神科医療における意味は,後に述べるように極めて大きなものがあり,近年の医療の高度化や超高齢社会の進行とともに総合病院での一般医療と精神医療の連携の重要性はさらに増していると考える.だが,その一方で総合病院精神科の施設数や病床数の減少もまた否定できないという現実がある1,2).
厚生労働省の医療行政に目を転ずると,2011年(平成23年)12月の社会保障審議会医療部会の「医療提供体制の改革に関する意見」の中に,「増加する精神疾患患者への医療の提供を安定的に確保するため,医療連携体制を計画的に構築すべき疾病及び事業(4疾病5事業)に精神疾患を追加すべきである.その際,一般医療と精神科医療との連携や社会復帰という観点での地域の関係機関との連携といった視点が重要である」という提言がなされ,その結果を受けて2012年度(平成24年度)から精神疾患が5疾病の中に加えられ,医療計画の作成が求められるようになった.さらにその中の重点項目として身体合併症問題への対応の重要性が掲げられており,精神疾患患者の身体合併症のみでなく,身体疾患患者が呈する精神疾患への対応も当然含まれている.
「一般医療と精神科医療との連携」や「精神疾患患者の身体合併症」をキーワードとしてみると精神科医療における総合病院精神科の重要性が浮かび上がるが,この流れの中に平成24年度診療報酬改定での精神科リエゾンチーム加算の創設があり,さらに平成26年度診療報酬改定では,身体合併症受け入れ態勢の確立の有無をDPC機能評価係数で評価することとなって表れていると考えることができる.こうした行政の姿勢は一般医療における精神科的問題が重要視されてきたことを明確に示すものとして大きな意義をもっている.
さて,上記リエゾン加算に関しての施設基準の中に専従職員として,精神保健福祉士や臨床心理技術者,薬剤師と並んでOTが含まれているのは一見唐突な印象を受けるが,臨床の実態に即してみると大きな意味があることがわかる.この論考では総合病院における精神科の役割とリエゾン診療の意味を述べるとともに,OTの果たすべき役割についても明らかにすることを試みたいと思う.
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