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総合病院の精神科が他科とかかわる機能は,コンサルテーション―リエゾン精神医学と言われる.コンサルテーション精神医学とは他科からの精神科依頼に対して助言する機能であるが,リエゾン精神医学は以下のように様々な意味で使われている.
1.コンサルテーション―リエゾン精神医学と同義語として使われる場合:厳密に言えば,コンサルテーション精神医学とリエゾン精神医学は意味が異なり,両者は区別して使われるべきであるが,依然としてこのように区別があいまいであったり区別しない使い方は多い.
2.患者―医療者関係,患者―家族関係などの関係性を扱う機能を意味する場合:「リエゾン」が「関係性」を意味することから,このように患者を取り巻く関係性を,診断や治療の際に扱うことをリエゾン精神医学ということがある.
3.他科入院中の患者を精神科が併診する場合:「リエゾン」が「連携」を意味しているため,「精神科が一緒に診ていく」という意味でリエゾン精神医学が使われている場合である.
4.リエゾンを構造としてとらえている場合:リエゾン精神医学とは,厳密には,ある病棟やセンターに精神科医が常駐したり,回診やカンファレンスに定期的に参加して,チームの一員として機能することを意味している.例えば,救命救急センターに常勤の精神科医がいたり,リハビリテーションの症例検討会に精神科医が定期的に参加して医療チームの一員として機能する場合などである.
一方,コンサルテーション精神医学とは,前述したように他科に入院・通院中の患者に生じた精神症状についての相談に応じ,適切な対応を講ずる機能である.このような厳密な差異はあるが,実際に患者・家族が精神科医の前にやって来る際には,主治医からの診察依頼があったり,何度も入院患者と会っている際に家族に出会ったり,症例検討会で精神科医が家族に会うべきだという結論になり面接の機会を設ける,など様々な道筋があるが,それらを区別することは意味がない.そこで,出会いはどういう経緯であろうが,リエゾン精神科医の前にやってきた精神科的介入が必要な身体疾患患者やその家族へのカウンセリングについて述べる.
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