特集 総合病院における精神医療
総合病院の精神神経科のあり方—とくにコンサルテーション・ワークの実態
富永 一
1
,
石田 元男
2
,
折橋 洋一郎
1国立東京第一病院精神科
2リヨン大学
pp.22-26
発行日 1965年8月1日
Published Date 1965/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541202637
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まえがきと精神科設置の必要性
たしか30年ほど前に,精神神経学会から政府当局へ,総合病院に精神神経科をおくように,要望書が出されたと記憶している。内村東大名誉教授や関根国立武蔵療養所長などの方がたも,はやくから総合病院に精神科を付属させる必要性をのべていられた。それでもわが国の医療行政には,この要請がいまだ十分にいれられずに今日に至っている。全国に80あまりある国立病院についてみても,その3分の1にもみたぬ約20の病院に精神科がおかれているにすぎない。それ以外の公私立病院でもほぼ同様で,名前は総合病院でも,精神科をもたぬ病院がその大半をしめている現況である。
私どもの病院では,今次大戦後,陸軍病院から国立病院になったとき,故坂口初代病院長と内村東大教授のはからいで,神経科が加えられ,現市川病院長になって,昭和38年末からは,それが精神科となり今日に至った。陸軍病院の頃には,国府台陸軍病院に移されるまでの短期間,患者を収容する監置病棟が1棟あったにすぎなかった。東一に精神科がおかれてから,外来,入院患者で精神神経疾患を併発したばあい,ただちに適切な診療がうけられるので都合がよいと,故坂口先生ものべていられた。
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