増刊号 脳卒中の作業療法―支援技術から他職種連携・制度の利用まで
第5章 他職種・家族等との連携
2 社会的自立を再獲得するための最も力強いアイテム(患者会)
伊東 仁香
1
,
宇藤 健司
1
Kimika Ito
1
,
Kenji Uto
1
1公益社団法人山梨勤労者医療協会石和共立病院 小児リハビリテーション室
pp.797-801
発行日 2014年6月20日
Published Date 2014/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001100581
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はじめに
脳卒中後遺症は,障害を伴う代表的な慢性疾患である.「脳卒中治療ガイドライン2009」1)によれば,維持期のリハの主な目的は,「獲得した機能をできるだけ長期に維持すること」とされ,「地域生活をベースにしたリハビリテーションの介入は,障害の悪化を軽減し,日常生活動作,日常生活関連動作能力の向上を促すことが期待できる」とされている.そのため個人個人の障害や活動性に沿って,ホームプログラムや地域,在宅を主体とした訪問リハ,通所リハ,外来リハ等が実施されている.しかし,これらの中で私たち医療者は,患者が自己選択し自己決定して生きがいをもって生活できるように援助しているだろうか.生涯にわたって基礎にある慢性疾患の管理とともに障害の管理を必要とし,その主体となるのは,患者自身とその家族である.彼らにとっては,地域での“生活の場”において障害とともに生きる力と社会参加の姿勢こそが重要である.そして,患者・家族を支える専門家の存在も重要である.患者会は本来,「自らの病気を治す」ことを目的とした集団であり,病気に立ち向かう勇気や病気と一緒に生活していこうという心を育て合う集団である.慢性疾患を治すのは患者自身であるため,患者会のない慢性疾患管理は,個々の努力に任され非常に達成されにくく不完全な治療になりかねない.
本稿では石和共立病院(以下,当院)の患者会活動を振り返り,その必要性について考えていく.
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