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書評 患者力を引き出す作業療法―認知行動療法の応用による身体領域作業療法
山田 規畝子
pp.1060
発行日 2013年8月15日
Published Date 2013/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001100254
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大嶋伸雄先生のご著書を拝読しながら,あらためて自分のこれまでを振り返りながら思うところがありました.
私は3度の脳出血に数度の脳梗塞を併発し,その後遺症として高次脳機能障害をもちながら生きている障害者で,障害歴は15年ほどになります.これまで本の執筆や講演活動を通して,目に見えず理解されにくいこの障害のことを,広く社会に理解してもらいたいと思い続けてきました.私自身が受けてきたリハは手術後の急性期にあたって“標準”とされているものでしたが,結局のところ,高次脳機能障害からの回復とは普通の暮らしを行う中で手に入れていくものであると感じ,実生活でそう心がけ,周囲の人たちにもそう発信し続けてきたのですが,長い障害との付き合いの中で,世の中にはこの障害をもつ人たちがたくさん存在するわりに,リハの方法が十分に確立されていないことに,そしてこの障害の治療に中心的な役割を担っていると考えるOTの存在がとても薄いということに対してなんとなくずっと抱えてきたフラストレーションについて,あらためて振り返させられる本でした.
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