Japanese
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特集 治療効果の判定
作業療法の効果判定―身体障害領域を中心にして
Evaluation of Effectiveness of Occupational Therapy-Especially in the Field of Physical Disability
金子 翼
1
Tasuku KANEKO
1
1神戸大学医療技術短期大学部
1Allied Medical Sciences Kobe University.
pp.162-167
発行日 1986年3月15日
Published Date 1986/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518103524
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はじめに
作業療法の効果判定ということに関しては過去,そして現在もひきつづきさまざまな形で検討されつづけており,いわば古くて新しい命題である.
そしてこの命題を追求していくことは作業療法の根幹・存続にかかわるものであり,最も基本的かつ重要な仕事であることは言うまでもない.
臨床家は確かな手ごたえとして作業療法の効果(自らの援助行為の対象者への有用性)を感じているはずであるし,教育家はそのことを学生に伝達し,研究者は終極的な目標を作業療法の効果とその判定に据えているはずである.
もしそうでなければ作業療法士が作業療法を業としたり教育・研究すること自体が自己矛盾であるし,それより以前に,効果がないのであれば歴史的にすでに陶汰され消え去ってしまっているはずである.
しかし作業療法という仕事は,すぐれて人間的・全体的なものであるゆえ,その効果を検討したり,他に説明する場合にかなりの困難が存在し,時としてジレンマに陥ることがあるということは事実である.
しかし,そのとらえにくい効果(しかし確実な実感のあるそれ)を可能な限り明確化し,集積し,伝達していくことは「業」としての作業療法はもとより「学」としての作業療法,そしてリハビリテーション全体の発展のために必要欠くべかざるものであると言えるであろうし,そしてそれが対象者に還元されることによって人間の健康・福祉に貢献することになるであろう.
さて,この稿では作業療法の効果判定に関して最初に日本と米国の文献により,その傾向を概観した上でいくつかの点を指摘し,その後効果判定に関して筆者が日頃考えていることのいくつかに触れておきたい.
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