特集Ⅰ 作業療法と脳科学Part 2―③発達障害領域
扉
加藤 寿宏
1
,
江藤 文夫
2
,
宮崎 明美
3
1京都大学大学院
2元・国立障害者リハビリテーションセンター
3旭川荘 みどり学園
pp.983
発行日 2013年8月15日
Published Date 2013/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001100237
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自閉症スペクトラム障害(ASD)児・者への支援は,作業療法において重要な取り組みの一つである.ASDに対する作業療法は,遊びを作業活動とした感覚統合療法やソーシャルスキルトレーニングを用いることが多い.ASDの作業療法は認知機能からの支援というよりは,身体を媒介とし,感覚・運動・行為に働きかける支援方法である.
ASDの感覚の問題や運動の不器用さは生活障害の原因となることが多いが,彼らの中核症状は社会性,コミュニケーション,創造性の障害である.ASDの中核障害と実際の支援との関連が明確でない作業療法は,科学的根拠が乏しいため認知度や評価が低いのが現状である.しかし,近年の脳科学の進歩によりASD児・者と社会脳(social brain)との関連が注目されており,中でも,コミュニケーションにおける身体の重要性や,感覚と行動,情動,社会性との関連が数多く報告されてきている.
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