特集 “こだわり”のある子ども(人)への支援—強度行動障害
扉
宮崎 明美
1
,
竹内 さをり
2
1旭川荘みどり学園
2甲南女子大学
pp.1173
発行日 2016年10月15日
Published Date 2016/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001200736
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特集にあたって
40年ほど前のこと.施設見学で胃の内容物を床に吐き,それをまた手で口に入れ,何度もそれを繰り返す,そして,床に頭を打ってみる—そんな光景に驚き,立ちすくんだ.OTになって10数年後,ある重症心身障害児(者)の施設で「壁に背をつけるようにして歩いてください.後ろから抱きつかれると危険なので」といわれつつ見学した.そこは清潔にされてはいたが,壁にはくすんだシミがついていた.頭や拳を打ち付けたときの血が飛んだのだと聞いた.「あーっ,大変なんだ……」OTは何ができるのか? どうすればよいのか? 強烈な“パンチ”を受けた記憶がある.今思えば,これが強度行動障害といわれる児・者との出会いだった.服を脱いだり,かみちぎったり,自傷・他害をくり返す等の児・者へ,OTはずいぶん前からかかわってきているはずであり,今も彼らに作業療法を提供している.
今回の特集は「強度行動障害」に焦点を当てて,施設の中で暮らす彼らに対して,また地域の中で暮らす彼らに対して,家族に対してどのような取り組み・支援ができるのか,あらためて考える基としたい.強度行動障害とはどんなことを指すのか,なぜそういう状況が生まれるのか.幼いころからの症状(?)なのか,どのような支援をすればその状況が改善・軽減されるのか.「強度行動障害」をキーワードに,支援の歴史から実際までがまとめられている.ぜひ参考にしていただきたいと思う.
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