特集 OTの臨床実践に役立つ理論と技術―概念から各種応用まで
第6章:精神・心理に関するもの
3.リアリティー・オリエンテーション―老いを生きる人への寄り添い
山根 寛
1
1京都大学大学院
pp.778-783
発行日 2013年6月20日
Published Date 2013/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001100194
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はじめに
リアリティー・オリエンテーション(reality orientation:以下RO法)は,作業療法とも関連がある技法である.しかし,有効であるという意見もあれば,手法と効果に疑問を呈する意見もある1,2).基本的な技法が比較的簡易にみえるため,安易な利用のされ方がなされていることもその理由の一つと思われる.RO法は使われ方によっては,対象者にとってとてもつらい,倫理的にも問題と思われるような扱いになりかねないような「RO法もどき」もかなり見受けられる.
創始者がどのような思いでこの技法を考えたのかは,今となっては残された文献から推測する以外に知る由もないが,認知機能が低下し困惑している老いを生きる人に安心と安らぎを提供するために,RO法をどのように理解し,どのように用いればよいか,その成立過程と変遷,基本技法を振り返り,適用対象と疾患や障害,効用と限界,作業療法における用い方等を紹介する.
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