内視鏡外科手術に必要な解剖と術野の展開・16
内胸動脈
高橋 宜正
1
,
天野 篤
1
1順天堂大学医学部胸部外科
pp.330-334
発行日 2003年8月15日
Published Date 2003/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.4426900427
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はじめに
内胸動脈を用いた冠動脈バイパス術(以下,CABG)は,内胸動脈グラフトの良好な長期開存性から,最も確実に虚血性心疾患患者の遠隔予後を改善することが証明された治療法であり,最近の外科治療の低侵襲化に伴って,人工心肺を使用しないで冠動脈吻合を行うoff-pump CABGにおいても積極的に使用されている.
なかでも,左前方小開胸による低侵襲冠動脈バイパス術(minimally invasive direct coronary ar-tery bypass:以下,MIDCAB)は1990年代後半に登場した,早期回復を目的とした術式である.左第4あるいは第5肋間前方の約8cmの小開胸アプローチから胸腔内に分布した左内胸動脈(LITA)を剥離して,心拍動下に左前下行枝(LAD)に吻合する術式である1).そのグラフト採取には,大きく分けて2つの方法がある.小切開下に直視下でLITAを採取する方法と,胸腔鏡下に採取する方法である.
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