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心筋植込内胸動脈の血行動態
須麿 幸蔵
1
1東京大学医学部第2外科
pp.377-378
発行日 1968年3月20日
Published Date 1968/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407204540
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ビマン性虚血性心疾患に対する外科的療法は1920年発表されたJonnesco1)の頸胸部交感神経切断術をもつて嚆矢とする.その後多くの治療法が試みられたが,いずれも満足な効果はえられずすたれていつた.1946年発表されたVineberg氏法2)は左内胸動脈を胸壁より遊離し第6肋間で切断し,それより中枢側の先端部の肋間動脈を出血させたまま心筋内部に植込む方法であり,植込動脈と冠状動脈との吻合を目的とするものである.本法も長年疑念をもたれていたが,1962年Sonesの選択的冠状動脈造影法によつて内胸動脈と冠動脈との吻合が証明されて以来にわかに注目されるところとなつた.
さて植込まれた内胸動脈は植込直後は,毎分数ccといわれるが,植込後数カ月して吻合完成後の流量は数ccから数十ccと報告者によつてかなり差異がある.吻合は,レ線学上からだけでなく血行動態面からも証明されうる.Provan3)らは慢性植込犬において亜硝酸アミル,エピネフリン投与により体血流量は減少したが植込まれた内胸動脈の流量は冠血流量と同じく増加したと報告している.筆者は昨年米国留学中内胸動脈の血行動態に関する研究を行なう機会をえたので,簡単にそれをしるす.
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