手術テクニック
胸腔鏡を用いた内胸動脈採取法
渡邊 剛
1
1富山医科薬科大学第1外科
pp.544-548
発行日 2000年12月15日
Published Date 2000/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.4426900190
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はじめに
小切開冠動脈バイパス術(minimally invasivedirect coronary artery bypass:以下,MIDCAB)におけるグラフト採取の方法は,2つの大きな流れがある.左内胸動脈(LITA)を小切開下に直視下で採取する方法と,胸腔鏡を用いる方法である.MIDCABが始まった当初は,内胸動脈剥離は左の小切開部から胸壁の裏をのぞき込むようにして採取するのが一般的であった.しかし,最近ではビデオテクノロジーの進歩とともに,胸部外科医が胸腔鏡下にLITAの剥離を行う施設が増えてきたように思われる.MIDCABにおけるLITAの剥離を最初に報告したのは1994年Benettiら1-3)で,左小開胸と胸腔鏡を使い開胸部から電気メスで行っている.さらに進んで,胸腔鏡下に胸腔鏡用器具を使いLITAを剥離する報告がStanfordを始めとして欧米で開始された4).しかし,胸骨正中切開で直視下にLITAの剥離を行うことに慣れている心臓外科医にとって,明日からいきなり胸腔鏡を使ってLITAの剥離を行うのは難しい.本稿がその一助となれば幸いである.
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