別冊秋号 オピオイド
PART2 基礎編
31 新しいκオピオイド受容体作動薬の薬理学的特性—論理的かつ独自設計による創薬
南雲 康行
1
,
長瀬 博
2
1国立がん研究センター研究所 がん患者病態生理研究分野
2筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-IIIS)
pp.201-208
発行日 2022年9月15日
Published Date 2022/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3104200313
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
モルヒネに代表されるオピオイドの不適切使用によりオピオイドクライシスが世界的な社会問題となるなかで,副作用の分離を達成した新しいタイプの化合物開発が切望されている。長瀬らが薬物嫌悪作用の分離に世界で初めて成功し,重篤な瘙痒の改善薬として臨床使用される選択的κオピオイド受容体作動薬ナルフラフィンは,強力な鎮痛作用を有するが至適鎮痛用量帯では鎮静作用を併発するため,鎮痛薬として認可されていない。筆者らは,ナルフラフィンの推定活性立体配座モデルにもとづき合理的設計と合成によりYNT-1612を創出し,鎮痛用量から薬物嫌悪作用および鎮静作用を大きく分離した化合物であることを見出した。
本稿では,この新規κオピオイド受容体作動薬YNT-1612の設計・合成と薬理作用について述べ,新しいオピオイド,κオピオイド受容体作動薬創出への一歩を紹介する。
Copyright © 2022, MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD. All rights reserved.