別冊秋号 オピオイド
PART1 臨床編
10 オピオイドによる術後副作用の予防と治療—術後悪心・嘔吐(PONV)
近藤 一郎
1
,
小池 正嘉
1
,
木村 斉弘
1
1東京慈恵会医科大学 麻酔科学講座
pp.61-66
発行日 2022年9月15日
Published Date 2022/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3104200292
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術後悪心・嘔吐postoperative nausea and vomiting(PONV)は全身麻酔の合併症の一つである。生命には影響しないものの,食欲低下,日常生活動作(ADL)の低下,筋緊張による創部痛の悪化,嘔吐の場合は脱水や電解質異常だけではなく誤嚥のリスクにもなりかねない。そのため患者の満足度を大きく下げるだけではなく,入院期間の延長や治療にかかる医療コストを上昇させる1)。臨床上,全身麻酔に使用されたオピオイドによるPONVはもちろんのこと,長時間続くPONVのほとんどは術後鎮痛に使用されるオピオイドによってもたらされているといえる。しかし,実際には硬膜外鎮痛,経静脈患者自己調節鎮痛(IV-PCA),持続末梢神経ブロックなどでは,オピオイドを併用しており,術後鎮痛法にオピオイドは欠かせない。周術期オピオイドによるPONVに対する治療戦略は麻酔科医として必要な知識である。
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