別冊秋号 —麻酔科医なら知っておきたい—血栓症・塞栓症
PART1 総論
2 循環障害の病態生理—虚血・阻血による臓器障害メカニズムと耐性獲得戦略
広田 喜一
1
1関西医科大学附属生命医学研究所 侵襲反応制御部門
pp.7-13
発行日 2021年9月17日
Published Date 2021/9/17
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3104200217
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塞栓症は,塞栓子によって血管が塞がれ,血流が低下・遮断に続発する病態である。さまざまな器官で虚血・阻血を含む循環障害を起こし多彩な症状を生じる。塞栓子は,血栓,アテローム,脂肪,空気の場合もあるし羊水・腫瘍の場合もある。血流の遮断により臓器障害や遮断が持続すれば細胞死を伴う不可逆的な機能障害に至る。遮断が解除されれば再灌流障害が待ち受けている(図1)。
本稿では,この臓器障害の病態生理をエネルギー代謝に力点をおいて考察して,本特集を読み解く基礎知識を読者に提供したい。加えて最近発展がめざましい冬眠様状態を人工的に誘導できる可能性を秘めた研究の紹介なども行う。
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