別冊春号 2021のシェヘラザードたち
第15夜 想定外を想定内に—小児気道異物での浅麻酔と術後抗凝固療法再開時に発症した硬膜外血腫
岡田 尚子
1
1順天堂大学医学部附属練馬病院 麻酔科・ペインクリニック
pp.93-98
発行日 2021年4月15日
Published Date 2021/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3104200205
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「麻酔から覚めない」
「挿管できない」
「換気できない」
今日の麻酔は短時間作用性麻薬,覚醒の良好な吸入麻酔薬,効果発現・消失の早い筋弛緩薬,筋弛緩薬の強力な拮抗薬,そして何よりも有力なビデオ喉頭鏡が当たり前のようにあり,このような恐怖を感じたことのない若い麻酔科医は多いだろう。私が研修を始めたのはラリンジアルマスクの臨床使用が開始された時期である。直視型喉頭鏡で挿管できなかったら,次の手段は気管支鏡,それでだめなら逆行性気管挿管か気管切開しか選択肢がなかった。ビデオ喉頭鏡など想像上の理想のデバイスだった。
時は流れ,今日の麻酔管理は多くの側面で変化している。時代のニーズに合わせた医療・麻酔が求められている。われわれも日々,今までの常識が現在の非常識に変わっていないかを確認しながら,毎日の症例に向き合わなければいけない。先人と同じ轍は踏まないでほしいという思いを込めて,私の失敗談をお話ししよう。
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