昨日の患者
想定外の進展に望外の喜び
中川 国利
1
1日本赤十字社東北ブロック血液センター
pp.1104
発行日 2020年9月20日
Published Date 2020/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407213055
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- 文献概要
高齢社会の進展に伴い,高齢の手術患者が増加しつつある.認知症を伴う患者家族に語った私の言葉が,想定外の進展に及び,患者家族から感謝されたエピソードを紹介する.
80歳代後半のHさんが急性胆嚢炎となり,緊急手術を行った.術後は精神錯乱も生じ,奥さんは介護に疲れ,精神的にも極限に達した.そこで気を紛らわすために,「ご主人は現役時代,どんな仕事をやられていたのですか」と,質問した.すると,「銀行員でした」と,怪訝そうな顔をしながら答えた.引き続き「若い頃のご主人はハンサムだったでしょう」と話かけると,「今と違ってしっかりしていて,髪もふさふさで,おしゃれでした」と,微笑んだ.
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