別冊秋号 周術期管理
PART2 術前合併症アップデート
26 長期オピオイド使用患者
堀江 里奈
1
,
天谷 文昌
1
1京都府立医科大学 疼痛・緩和医療学教室
pp.163-167
発行日 2020年9月15日
Published Date 2020/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3104200167
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欧米ではオピオイドが鎮痛目的に頻用されており,長期使用が問題化している。米国では成人市民の4割に相当する患者が1年にオピオイドの処方を受け1),術前患者の2割はオピオイドをすでに服薬している2)。長期オピオイド使用患者では周術期合併症が増加し,入院期間の延長や再入院のリスクが上昇する3)。日本のオピオイド使用量は米国に比べると少ない4)が,がん患者の生命予後が改善していること(コラム1),非がん性慢性疼痛に対するオピオイドの適応が拡大されることから,長期オピオイド使用患者が手術を受ける機会は今後増加するだろう。
オピオイドの長期使用は身体機能にさまざまな影響を及ぼす。術後鎮痛に要するオピオイド必要量は増加し,急激な休薬による離脱症状のリスクにも備える必要がある。
本稿では,長期的なオピオイド使用に伴う身体機能の変化を解説し,長期オピオイド使用患者における疼痛評価と術後鎮痛法を示したい。
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