別冊春号 2020のシェヘラザードたち
第23夜 研修医と指導医の距離感—自ら考えて行動できるようにするために
内田 整
1
1千葉県こども病院 麻酔科
pp.139-143
発行日 2020年4月10日
Published Date 2020/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3104200138
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麻酔科医としてキャリアを積んでいく過程で,誰しも,教えられる側から教える側に立場が変わってくる。教える側,すなわち指導医が研修医に教える内容には,麻酔科医に必要な知識や技術があるが,実臨床における状況分析と判断も重要な要素である。この状況分析と判断は座学だけでは習得できないため,研修医は指導医のもとで麻酔管理を行いながら身につけていく。
しかし,それぞれの患者の状況に対して研修医の判断にどこまで介入するか,言い換えれば,研修医と指導医の距離感をどの程度取るかは難しい。研修医に任せすぎると判断が間違っていたり,カバーするのが遅くなったりして,麻酔管理の質が低下する可能性がある。逆に,指導医が自ら判断してしまい研修医に指示するだけでは教育効果は低い。
私は過去から今日まで,多くの研修医と出会い,指導を行ってきた。そのなかには,距離感の取り方を改めて考えさせられた症例もある。ここでお話しする3例もそのような症例である。
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