別冊春号 2019のシェヘラザードたち
第1夜 予期せぬショックバイタルにチームプレーで立ち向かえ!!
飯田 高史
1
1旭川医科大学 麻酔・蘇生学講座
pp.1-5
発行日 2019年4月19日
Published Date 2019/4/19
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3104200051
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“麻酔科医の仕事のなかで,最も重要なものは?”と聞かれたらみなさんは何と答えるだろうか。そんなものいろいろありすぎて答えられんとお叱りを受けそうだが,その一つとして循環動態の管理があげられることは間違いないだろう。周術期に術中死につながるような循環動態の破綻をきたす原因としてすぐに頭に浮かぶのは,出血性ショックである。術前から出血の可能性が高い術式であることがわかっている心臓手術,肝切除術や前置胎盤での帝王切開,低心機能や敗血症患者,外傷や急性大動脈解離などすでに出血していることが明らかな患者に対する緊急手術であれば,身構えて血管収縮薬や輸血製剤を準備することができる。それに対して,言い方は悪いが「ASA-PS(米国麻酔学会術前状態分類)I〜Ⅱのある程度元気な患者に対する普通の手術」で循環動態が破綻した場合には,一瞬何が起きたのかわからない恐怖に直面することとなるが,そんなときこそプロの腕の見せどころである。今回はまだ麻酔経験の浅い標榜医Aと,その指導医であるベテラン麻酔科医Bが直面した症例を例に考えてみたい。
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