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ペインクリニックにおける治療法の1つに脊髄刺激療法(spinal cord stimulation:SCS)がある。SCSは,硬膜外腔に電極リードを留置し,脊髄後索を電気刺激することにより,疼痛軽減,血流改善をもたらす。硬膜外麻酔に慣れている麻酔科医にとって,うってつけの治療法と考えられる。SCSのためには,専用の機器が必要である。基本的な機器を図1に示した。①電極リード,②刺激装置(電池),③プログラマの3つからなり,①電極リードと②刺激装置(電池)は患者の体内に植え込む。それらを体外から,③プログラマで調節する。患者に説明するときには,ペースメーカを例にとると理解されやすい。
SCSによる最初の治療は,1967年に米国の脳神経外科医であるShealyらが行った。末期癌患者の胸膜転移による肋間神経痛に対してSCSを施行し,痛みが軽減した1)。その後,SCSは徐々に普及し,日本では1992年に保険適応となった。診療報酬算定基準では,“薬物療法,ほかの外科療法および神経ブロック療法の効果が認められない慢性難治性疼痛の除去または軽減を目的として行った場合に算定する”となっており,最終的な治療法と位置づけられている。保険点数は,使用する機器により違いがあるが,最大40,280点であり,ペインクリニックの治療のなかでは最も高額な医療費となる。当然,高額療養費制度の対象となり,年齢や所得により自己負担限度額が決まっている。
SCSの適応疾患は神経障害性疼痛と虚血性疼痛であり,侵害受容性疼痛には効果が期待できない。表1に,2009年に英国疼痛学会(The British Pain Society)が作成したSCSの反応性と適応疾患についての推奨を示す2)。これによると末梢血流障害による痛みは“Good indication(よく反応する)”に分類され,有効性が高いと認識されている。
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