別冊春号 2018のシェヘラザードたち
第十夜 ペインクリニック領域では定期的な神経診察が重要である—乳癌術後上肢CRPS type 1
住谷 昌彦
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1東京大学医学部附属病院 緩和ケア診療部/麻酔科・痛みセンター
pp.59-64
発行日 2018年4月18日
Published Date 2018/4/18
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3104200010
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乳癌患者の手術療法後の合併症の1つに乳房や腋窩,上腕に痛みが続く乳房切除後疼痛症候群(post-mastectomy pain syndrome:PMPS)がある。PMPSは乳房切除後患者の25〜60%が発症するとされ,手術直後から遷延することもあるが,術後数か月から年単位で経過したあとに発症することもある1)。乳癌は日本の女性で最も罹患率の高い癌であり,麻酔科ペインクリニックではPMPSの疼痛管理について,乳腺外科医や腫瘍内科医からコンサルトを受けることが多い。また,臨床的にはPMPSから複合性局所疼痛症候群(complex regional pain syndrome:CRPS)へと進展しているような患者に遭遇する機会が少なくないため,CRPSの治療方針を理解しておけばPMPSにも対応できると考えられる。
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