CHEC-TIE—よい医師—患者関係づくりのために・13
患者の受診理由が自覚症状でないとき
箕輪 良行
1
,
柏井 昭良
2
,
竹中 直美
3
1自治医科大学大宮医療センター総合医学第2
2自治医科大学看護短期大学
3日鋼記念病院医学情報部
pp.178-179
発行日 1998年1月10日
Published Date 1998/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402906654
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症例 兄を肺癌で失った高齢者のリクエスト
68歳,男性.イケダさんの第一声は,「1週間ほど前に兄が肺癌で亡くなったのですが,心配なので胸の写真を撮ってください」だった.初診を担当したヤマモト先生はレジデントを終了したばかりの6年目で,イケダさんの一言に少々驚いた.さっそく質問した.
「咳が出るなど,具合の悪いところはありますか」
特に自覚症状はなく,喫煙歴が毎日30本で約50年間,飲酒は水割り1杯を毎日であった.胃潰瘍の手術,骨折(ギプス固定),そして3年前に膀胱癌で手術を受けていた.実母を胃癌で失い,5人兄弟のすぐ上の兄が今回の肺癌であった.体重減少もみられなかった.
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