特集 抗血小板薬,抗凝固薬のすべて
【コラム②】新規抗血小板薬の最新エビデンス—プラスグレル,チカグレロルをクロピドグレルと比較して
杉崎 陽一郎
1
Yoichiro SUGIZAKI
1
1神戸大学大学院医学研究科 内科学講座・循環器内科学分野
pp.458-465
発行日 2019年9月1日
Published Date 2019/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103900693
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皆さんは抗血小板薬が処方されている患者さんの背景疾患として,どのような疾患を診療していることが多いでしょうか。虚血性心疾患,末梢動脈病変,脳梗塞後などさまざまかもしれませんが,筆者は循環器内科医であり,やはり圧倒的に虚血性心疾患,なかでも経皮的冠動脈インターベンション(PCI*1)後の患者さんが多いです。このPCI普及に伴い,抗血小板薬の使用も大きな広がりをみせたことで,総合内科医をはじめとした循環器内科以外の先生も,抗血小板薬が処方されている患者さんを診療する機会が非常に多くなったのではないかと思います。
クロピドグレルを用いた抗血小板薬の2剤併用療法(DAPT*2)は,急性冠症候群(ACS*3)ほか,冠動脈疾患に対するPCI後の治療として確立されています。しかしながら,このスタンダードとなった抗血小板療法を受けてもなお,ACS後の心血管イベントの再発はなくなっておらず,その原因はステント血栓症や非責任血管での新規発症のACSなどさまざまです。そのなかで,クロピドグレルはチトクロームP450(CYP)多型により抗血小板作用の効果にばらつきがあり,一部効果が不十分な患者群が存在している可能性が指摘されました。そこで,それらの問題を解決すべく開発されたのが新規抗血小板薬です。
薬理学的機序やガイドラインに基づく使用法は他稿に譲り*4,本稿ではこの新規抗血小板薬とされる,プラスグレル(エフィエント®)とチカグレロル(ブリリンタ®)に関して,既存のクロピドグレル(プラビックス®)と比較した最新のエビデンスを中心に概説します。
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