臨床医からの質問に答える
クロピドグレル抵抗性とは何か?
大森 司
1
1自治医科大学分子病態治療研究センター分子病態研究部
pp.232-235
発行日 2010年3月1日
Published Date 2010/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102763
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はじめに
血小板は無核の小さな血球細胞であり,正常の止血反応(一次止血)だけでなく,心筋梗塞や脳梗塞などの病的血栓の形成にも関与する.そのため血小板機能を抑制しうる抗血小板薬がさまざまな動脈血栓症の治療・予防に広く利用されている.臨床の場で抗血小板薬として最も利用されているのがアスピリンであり,これにクロピドグレルやチクロピジンなどのチエノピリジン系薬剤が続く.抗血小板薬はワルファリンと異なり,薬剤効果のモニタリングをすることなく,一定量を患者に投与することが一般的である.そのため特定の患者群においては,実際の用量では薬剤の作用が十分でない可能性は容易に予測できる.クロピドグレルにかかわらず,このような抗血小板薬の効果が臨床検査上減弱している患者群を抗血小板薬抵抗性(レジスタンス)として臨床検査の分野だけでなく臨床予後の面からも注目されている1).
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