特集 抗血小板薬,抗凝固薬のすべて
3.凝固因子の機能と抗凝固薬の作用機序—凝固カスケードおよび線溶系から薬剤の特徴とその使い分けを理解する
植田 康敬
1
Yasutaka UEDA
1
1大阪大学大学院医学系研究科 血液・腫瘍内科
pp.467-474
発行日 2019年9月1日
Published Date 2019/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103900694
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古くから使われているヘパリン,ワルファリンは,現在でも臨床的に最も有用な抗凝固薬であるが,近年さまざまな薬剤が開発され,その有用性が臨床試験で次々と明らかとなっている。例えば,心房細動による心原性脳梗塞の発症予防には長年ワルファリンによる抗凝固療法が行われてきたが,近年,直接経口抗凝固薬(DOAC*1)はワルファリンに比較し,有効性,安全性で非劣性以上であることが判明した。このためAHA*2の心房細動ガイドラインの2019年改訂版1)では,心原性脳梗塞の発症予防には,中高度の僧帽弁狭窄症や人工心臓弁の場合を除いて,ワルファリンよりもDOACが推奨されている。今後さまざまな血栓性疾患に対して,最適な抗凝固薬の選択に関するエビデンスが蓄積していくことが予想され,各薬剤の使い分けが重要となってくる。
本稿では,まず凝固カスケードおよび線溶系を概説し,次にそれぞれの抗凝固薬の作用,特徴について説明する。
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