特集 肝胆膵
【総論】
【コラム①】肝臓病理医の立場から見る肝疾患診療—臨床医も押さえておきたい病理所見と診断におけるポイント
中沼 安二
1
Yasuni NAKANUMA
1
1福井県済生会病院 病理診断科
pp.594-604
発行日 2018年9月1日
Published Date 2018/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103900582
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肝針生検(肝生検)は侵襲的な検査方法ではあるが,小さな肝組織切片から多くの情報を得ることができ,患者の病態把握や診断に重要である1〜3)。肝疾患治療薬の進歩や画像医学,検査医学の進展に伴い,肝生検検体数は減少しているものの,肝移植領域では,肝生検は依然として重要な検査手段であり,自己免疫性肝炎(AIH*1)や薬剤性肝障害,非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD*2)の診断にも有用である。近年注目されている急性発症のAIHでは,必須の検査手段でもある。
臨床の現場では,肝臓病理医は主として肝生検を観察し,顕微鏡を介して得られた肝臓の情報を臨床医に伝え,議論などを通して肝疾患診療に深くかかわっている。特に,臨床診断の妥当性,また肝疾患の病期や活動度の把握,偶発所見の有無の検討などを行っている。本稿では,肝臓病理医の立場から,臨床医に知っておいてもらいたい点を中心に,肝生検の病理所見やその解釈,診断におけるポイントを解説する。
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