連載 ホスピタリストに必要な他科の知識・第1回【新連載】
産科の知識—絶対に安全な薬はないが,怖がりすぎも禁物
中山 理
1
1聖隷浜松病院 産婦人科
pp.126-129
発行日 2013年9月1日
Published Date 2013/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103900467
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新生児に先天奇形などの異常が起こる自然発生率は1〜3%といわれている。原因として遺伝的要因や環境因子などが挙げられるなか,薬物によるものはすべての異常の4〜5%とされる。これは,1000人の出生の2%(20人)に先天異常が起きるとすれば,そのうちの1人が薬物によることになる。しかし,絶対に安全と言える薬物はなく,まず,妊婦・授乳婦に対する心得は「リスクを考慮しても,薬物を投与することにより得られる効果が病態の改善にとって必要である」と判断したときのみ処方する,という慎重さである。海外のいくつかの国では,胎児危険度を表すリスクカテゴリーを公的に定めており,臨床の場で利用されている。我が国ではこうしたカテゴリーは定められておらず,情報は添付文書だけからとなる。これでは判断がつきにくい。そこで,リスクベネフィットを考慮して作成されている米国FDAのカテゴリー(表1)が,日本の臨床の場ではしばしば使用されている。今回は,妊婦・授乳婦に対する投薬などを,臨床の場面でどのように判断したらよいのか,症例を通じて考えてみよう。
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