教育の眼
点数のとりすぎについて
佐藤 忠男
pp.556-560
発行日 1973年8月25日
Published Date 1973/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663906703
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現在進められている教育改革の構想のひとつに,‘飛び級’と呼ばれるものがある.非常に頭のよい優秀な生徒は,小学校6年,中学3年,高校3年,といったふつうのコースを,ふつうの年限で忠実にたどってゆく必要はなく,適当な時期に適当な学年を1年とぼして進級してもかまわない,という考え方である.あるいは,そういう頭のよい生徒だけを集めて,中学の課程を2年で終えてしまうような授業を行なったり,高校の2年から大学を受験するといったことも考えられるのであろう.旧制の中学は5年まであったが,旧制高校には4年から受験することができた,これなどは‘飛び級’とは違うが,ややそれに近い考え方だったのかもしれない.
こういう考え方の土台には,頭のよい子どもにとっては,のろのろした授業の進行は苦痛であり,せっかくの頭のよさを順調に伸ばすことにもならない,という考え方がある.学校のクラスの中には,のみ込みの早い生徒もいれば遅い生徒もいる.
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