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北米では,入院患者のみに特化して診療を行う医師のことを,一般的にホスピタリストと称する。1996年以降,米国では爆発的にホスピタリストの数が増加している。背景には医療保険制度の破綻がすでに現実の問題となっていることがある。2009年における無保険者数は5000万人を超え,全国民の16.7%を占め,増加傾向にある1)。米国は日本を10年先取りしている,といわれるが,日本でも高齢化社会に突入していく現状をふまえると,同様に医療保険制度の破綻に陥る可能性がある。米国ではこの危機を脱するための対策が講じられている。すなわち,ホスピタリストの採用,そのことで在院日数が短縮し,医療費が削減される2, 3)ことがすでに示されている。日本でも同様にホスピタリストを育成し,導入することは,医療経済の観点からも理にかなった方策であると思われる。しかしながら,異文化のなかで発展してきたホスピタリストを,医療保険制度の異なる日本でそのまま導入することは難しい。
Hospitalist第1号では,専門医志向がより強くなりつつある現在の日本の病院診療システムにおいて,どのように横断的なチーム医療,グローバルスタンダードな医療,院内リソースの有効利用などを融合させることができるかを強調する。本稿では,ホスピタリストの定義,日本の現状と米国でホスピタリストが必要とされてきた経緯,米国での総合内科(GIM)のカリキュラム,そして,日本において求められるホスピタリストの診療能力について解説し,特にホスピタリストが習得すべき3つの軸(Clinical Conditions,Procedures,Healthcare Systems)について解説する4)。
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