特集 血液疾患
【コラム】特発性血小板減少性紫斑病(ITP)—致死的出血のリスクを見逃さず,的確に予防することが治療の目標
安部 涼平
1
Ryohei ABE
1
1慶應義塾大学医学部 血液内科
pp.844-849
発行日 2015年12月1日
Published Date 2015/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103900185
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
特発性血小板減少性紫斑病idiopathic thrombocytopenic purpura(ITP)は,免疫機序による後天性血小板減少を特徴とする疾患であり,近年では免疫性血小板減少症(immune thrombocytopenia)ともよばれる。日本には約2万人の患者がおり,毎年3000人が新規に発症する1, 2)とされる。男性の約1.5倍女性に多く,年齢別発症率は男性では74〜89歳の高齢者において最多である一方,女性では20〜34歳と50〜89歳に二峰性のピークを有し3),若年者にみられることも珍しくない。検診異常や出血症状を主訴として内科外来を受診することが多いため,一般内科医も知っておきたい疾患の1つである。また,国の難病(特定疾患)に指定されており,治療費の公費負担制度があることも知っておく必要がある。本稿ではITPの診断と治療について,日本のガイドラインを軸に,欧米との違いを含めて述べる。
Copyright © 2015, MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD. All rights reserved.