特集 周術期マネジメント
【ミニコラム】眼科手術における内科医の役割—白内障手術での術前評価の必要性とその内容から考える
石山 貴章
1,2
Takaaki ISHIYAMA
1,2
1新潟大学地域医療教育センター
2魚沼基幹病院 総合診療科
pp.400-403
発行日 2016年6月1日
Published Date 2016/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103900174
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白内障をもつ患者の30%以上が,その治療として何らかの外科的処置を必要とするといわれる1, 2)。その一方,白内障手術が施行される患者のほとんどは65歳以上の高齢であり,通常さまざまな内科疾患をもっている。また,検査上で異常値を示す割合も当然高くなる。具体的には,循環器疾患,呼吸器疾患,代謝性疾患などが挙げられ,その結果として術中のコントロール不良の高血圧,心筋虚血,不整脈,あるいは呼吸不全といった合併症が生じ得る。経験的に術前検査のオーダーが許容されてきた背景には,おそらくそういった懸念があると思われる。いまだに術前評価として血液検査などが「ルーチン」にオーダーされている。
白内障手術は,低リスク手技に分類され3),その出血リスクも低いとされる。ただし,通常,高齢者に対する手技であるということを忘れてはならない。その一方で,年齢そのものが白内障手術の禁忌となることはない4)。すなわち,さまざまな内科的合併症をもつ高齢者がその適応となり,それが手術リスクを上昇させ得る,ということである。
本稿ではまず,一般的なメディカルクリアランスの意味についてふれたあと,最も頻度の高い眼科手術である,白内障手術における術前評価の必要性とその内容に関して,現在示されているいくつかの研究をもとに,可能なかぎりエビデンスに基づいた検討を加えたい。
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