特集 周術期マネジメント
【コラム】全身麻酔と局所麻酔—麻酔科医はどう考え,使い分けているか
谷 真規子
1
Makiko TANI
1
1University of Pittsburgh Medical Center, Department of Anesthesiology
pp.384-391
発行日 2016年6月1日
Published Date 2016/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103900172
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「この患者はリスクが高いから,全身麻酔はできないですよね?」麻酔科医をしているとそのような相談をよく受ける。結論から言うと,どんな高リスク患者でも全身麻酔をすること自体は可能である。事実,集中治療室では重症患者が鎮静,挿管,人工呼吸器管理されている。
高リスク患者の麻酔において麻酔科医が問題としているのは,①手術適応の適切性,②手術侵襲から患者を守るという主目的を達成することができる麻酔管理は何か,③麻酔による生体への悪影響を最小限にする麻酔管理は何か,④最適と考えられる周術期管理のもとに手術を施行した場合に予想される患者の転帰,の4点である。
疾患・術式の多様性から,麻酔の使い分けを論じるのは一般論としても容易ではない。本稿では主に②と③の観点から,各種麻酔法を比較検討するための材料を提示することを目的とするが,麻酔科医は日常的に複数の麻酔法を併用して周術期管理を行っていることをはじめに明記しておく。
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