特集 周術期マネジメント
9.整形外科手術における内科医の役割—高齢者の大腿骨頸部/転子部骨折で考える集学的アプローチ
坪井 謙
1
,
石田 岳史
1
Ken TSUBOI
1
,
Takeshi ISHIDA
1
1さいたま市民医療センター 内科
pp.377-382
発行日 2016年6月1日
Published Date 2016/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103900171
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大腿骨頸部骨折は,これまで整形外科医が主治医となって管理され,内科医にとっては“専門外”であり,積極的に介入する疾患ではなかった。しかし超高齢社会を迎え,患者数は漸増し,内科医が診ていた患者が転倒して大腿骨頸部骨折を受傷したり,整形外科医から術前コンサルトされたりと,大腿骨頸部骨折後の患者を診る機会が増えている。高齢者の骨は脆弱なうえ,老化に伴うバランスの悪化,降圧薬の副作用(過度の降圧,特にα遮断薬や降圧薬の併用)や睡眠薬の影響が加わり,転倒を契機に骨折してしまう。
高齢者の骨折は,単に「骨が折れた」ということではない。平成26年国民生活基礎調査1)によると,介護が必要となった主な原因は,関節疾患と骨折・転倒で,合算すると22.7%となり,脳卒中の18.5%を上回る。生命予後の悪化のみならず,介護負担に多大な影響を及ぼしていることを認識したうえの,集学的アプローチが求められている。これからの大腿骨頸部骨折は,整形外科医,老年医,リハビリテーション医とともに,ホスピタリストも一丸となってチームで取り組む疾患となるであろう。
本稿では,大腿骨頸部/転子部骨折患者に対して,ホスピタリストとしてどのようにかかわるべきかについてまとめる。
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