連載講座 麻酔の実際
婦人科麻酔・1—局所麻酔剤による全身反応とその処置
鈴木 太
1,2
Hajime Suzuki
1,2
1日本大学
2駿河台日本大学病院麻酔科
pp.626-627
発行日 1972年7月10日
Published Date 1972/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204643
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5回にわたつて婦人科の麻酔について講座を書くよう依頼された。しかし一般的な麻酔法については麻酔学の教科書を読めば足りる。そこで婦人科医にとつて日常の臨床でしばしば問題となるところであるにもかかわらず案外よく知られていない事柄の幾つかを取りあげ,それらについて必要な実際的な麻酔科学的知識を述べてみたい。
局所麻酔剤による全身反応は大別して2つの種類がある。1つは麻酔剤が吸収あるいは血管中に誤つて注入されたために起こる全身の中毒反応であり,もう1つは局所麻酔剤に対する個体のアレルギー反応によつて起こるアナフイラキシーショックである。局所麻酔剤を用いた麻酔,ことに脊椎麻酔や硬膜外麻酔の際に全身的な異常反応を起こすと,よく患者の特異体質とかアレルギー反応ということで片づけられることが多いが,事実はそのほとんどの例は局所麻酔剤がなんらかの原因により血中に入りこんだために起こつた単純な中毒反応かあるいは硬膜外麻酔の時に誤つて,くも膜下ブロックになつてしまつたりするような手技上の誤りによる全身反応である。
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