特集 代謝内分泌
10.副甲状腺ホルモン(PTH)/ビタミンD—生理機能と臨床的意義
岡崎 亮
1
Ryo OKAZAKI
1
1帝京大学ちば総合医療センター 第三内科
pp.137-145
発行日 2016年3月1日
Published Date 2016/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103900140
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副甲状腺ホルモンparathyroid hormone(PTH)とビタミンDは,いずれも,血清カルシウム(Ca)濃度上昇作用を有する生理的ホルモンである1)。どちらのホルモン作用が低下しても,低カルシウム血症がもたらされ,どちらか一方のホルモン作用が亢進するだけで,高カルシウム血症となる。すなわち両者とも,血清Ca濃度維持に必須のホルモンである。また,PTHとアミノ酸配列が酷似し,共通の受容体に結合する生理活性物質として,PTH関連ペプチドPTH related peptide(PTHrP)がある。PTHrPは,健常人の血清Ca濃度調節にはほとんどかかわらないが,生理的に胎児へのCa供給や乳汁中へのCa分泌にかかわり,病的な過剰は,PTH過剰と同様に高カルシウム血症と低リン血症をもたらす。
なお,血清Ca濃度調節系には,血清リン(P)濃度調節系が密接にかかわっている。血清P濃度調節に重要な因子も,PTHとビタミンDである。血清Ca濃度調節の場合と異なり,PTHは血清P濃度低下作用を,ビタミンDは血清P濃度上昇作用を有する。また,骨細胞osteocyteが産生分泌する線維芽細胞増殖因子fibroblast growth factor(FGF)-23が,血清P濃度低下作用を有する。
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