臨時増刊特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第3集
Ⅹ.内分泌機能検査
155.副甲状腺ホルモン(PTH)
尾形 悦郎
1
Etsuro Ogata
1
1東京大学医学部・第4内科
pp.2474-2475
発行日 1984年12月1日
Published Date 1984/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219476
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異常値を示す疾患
副甲状腺ホルモン(PTH)のradioimmunoassayは,他のポリペプチドホルモンのradioimmunoassayと同様,あるいはそれ以上に,測定系と測定法とに問題がある.血清の副甲状腺ホルモン濃度については,測定に用いるradioimmunoassay系の感度から,正常と正常以下とを明確に区別することはできない.また測定系によっては,非特異的陽性反応を示すことも少なくない.したがって正常以上であれば副甲状腺機能低下症はほぼ否定できるが,これも絶対とは言えず,また検出感度以下だからといって,ただちに副甲状腺機能低下症とも言い切れない.測定法の改善がなおまたれているところである.以下では,非特異的反応により陽性となったものは除いて議論する.
異常高値を示す疾患は表に示すごとくである.血中のPTHを測ったからといって,その数値の意味するところは測定系と測定法とによって必ずしも同一ではない.いずれの方法によっても,PTHの完全分子―PTH(1-84)―は検出するので,原発性副甲状腺機能亢進症,および副甲状腺そのものに原発性の異常のない各種低カルシウム血症では,PTH(1-84)が上昇するので,血中PTHの高値が検出されるはずである.PTH(1-84)は流血中で分解される.
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