特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第7集
内分泌学的検査
甲状腺・副甲状腺
副甲状腺ホルモン(PTH),副甲状腺ホルモン関連蛋白(PTHrP)
佐藤 幹二
1
1東京女子医科大学内分泌センター内科
pp.332-333
発行日 2005年11月30日
Published Date 2005/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402101819
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
副甲状腺ホルモン(parathyroid hormone:PTH)は,副甲状腺から分泌される84個のアミノ酸より構成されているペプチドホルモンであり,通常,intact PTH として測定されている1).副甲状腺ホルモン関連蛋白(PTH-related protein:PTHrP)は胎生期に全身の細胞により産生される多機能性のサイトカインである2).PTHrPは成人では胎盤などでも産生されるが,特に扁平上皮癌などの悪性腫瘍により産生されることが多い.PTHもPTHrPも大量に産生された場合には,共通のPTH/PTHrP受容体を刺激して,破骨細胞による骨吸収を促進し,高カルシウム(Ca)血症を惹起する.また,腎尿細管のPTH/PTHrP受容体を刺激し,腎尿細管からのCaの再吸収をも促進する.したがって,PTH産生過剰症(ほとんどは原発性副甲状腺機能亢進症)やPTHrP産生過剰症(ほとんどは悪性腫瘍)では,高Ca血症が必発してくる.
臨床上の重要性と選択
高Ca血症のある患者を診た場合には,まずintact PTHを測定する.一見して全身状態が不良な場合には,PTHrPをも同時に測定するとよい.
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