特集 腫瘍
【ミニコラム】妊娠中に乳がんが判明したら—検査・治療の胎児への影響について正しい知識をもっておく必要がある
下村 昭彦
1
Akihiko SHIMOMUTA
1
1国立がん研究センター中央病院 乳腺・腫瘍内科
pp.572-574
発行日 2016年9月1日
Published Date 2016/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103900103
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妊娠中に診断されるがんはまれな疾患であり,全がんでは0.05〜0.1%程度,全妊娠では0.02〜0.1%とも報告されている1)。妊娠中に診断されるがんのうち最も多いものが乳がんで,罹患率,死亡率ともに最多である2)。30歳以下では20%が妊娠関連の乳がんと報告されている一方,50歳以下では5%未満と対照的である。サブタイプ別にみると,妊娠期乳がんではホルモン受容体陽性が25%程度であり,非妊娠期乳がんの60%前後と比較して少ないことが報告されている3)。ヒト上皮増殖因子受容体2(HER2)発現の違いは報告されていない。妊娠期や妊娠後短期間に発症した乳がんは,それ以外の時期に発症したものと比べて予後不良であることが知られている4)。
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