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妊娠中のマリファナ喫煙が分娩,胎児あるいは新生児に及ぼす影響
田部井 徹
1
1自衛隊中央病院産婦人科
pp.302
発行日 1983年4月10日
Published Date 1983/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206795
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妊婦の飲酒や喫煙が,流産あるいは子宮内胎児発育不全に起因し未熟児出生に関連することは,よく知られた事実である。強度の慢性アルコール中毒妊婦からは,精神障害,知能低下,頭蓋形成不全などを示す先天異常児が出生しやすく,胎児性アルコール症候群として注目されていることは既に述べた(臨婦産,35(8);585頁参照)。また,妊娠中における過度のニコチン喫煙は,胎盤の重量や機能を低下させ,胎児あるいは新生児の体重を減少させ未熟児の出生に関与する。
最近,米国におけるマリファナ喫煙者は煙草喫煙に比べて増加する傾向にあり,社会問題化している。1979年の政府統計1)によると,成人女性(満18歳〜25歳)の約10%がマリファナを喫煙しており,とくに妊娠中の喫煙者は全妊婦の8%以上を示し極めて高率である。しかるに,妊娠中に喫煙したマリファナが,母体あるいは胎児,新生児に及ぼす影響に関しては,従来から主として動物実験により検討されていたに過ぎず2)3),ヒトでの研究は皆無に等しかった。
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