特集 腫瘍
2.抗がん薬の基礎知識—治療のゴールについて繰り返しの確認,共有が重要
白井 敬祐
1
,
西嶋 智洋
2
,
長阪 美沙子
3
Keisuke SHIRAI
1
,
Tomohiro NISHIJIMA
2
,
Misako NAGASAKA
3
1Geisel School of Medicine, Dartmouth-Hitchcock Medical Center
2Lineberger Comprehensive Cancer Center at the University of North Carolina
3Karmanos Cancer Institute/Wayne State University
pp.469-482
発行日 2016年9月1日
Published Date 2016/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3103900093
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抗がん薬は,手術,放射線治療と並ぶ,抗がん治療の3本の柱の1つである。抗がん薬とひと言でいっても,殺細胞性の従来の抗がん薬に始まり,小分子阻害薬からモノクローナル抗体,ホルモン療法,またごく最近の免疫チェックポイント阻害薬と,さまざまな種類がある。例えばメラノーマに対して,米国では2011年から9つもの新しい薬がFDAに認可された。治療の順番,タイミング,組み合わせも含めて,次々と新しい治療が生まれており,それに伴い,今まではみられなかったような効果,あるいは副作用も報告されている。
抗がん薬の特性,副作用を知ることはもちろん前提であるが,治療のゴールを医療者と患者・家族との間で繰り返し確認することの重要性をあえて強調したい。この治療のゴールは,moving target,すなわち動く標的であり,お互いの確認,軌道修正が不足すると,患者・家族と医療者の間,あるいは医療者間でも,ゴールが大きくずれてしまう。
本稿では抗がん薬について,現在知っておくべき基礎知識を整理し,解説する。
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