特集 Respiratory ECMO 2.0
❶ 巻頭言—COVID-19パンデミックを経たrespiratory ECMOの現在地
竹田 晋浩
1,2
Shinhiro TAKEDA
1,2
1かわぐち心臓呼吸器病院
2日本ECMOnet
pp.327-329
発行日 2024年7月1日
Published Date 2024/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102201186
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respiratory ECMOの見直し
かつては呼吸不全に対するECMO(体外式膜型人工肺)治療は,エビデンスの少なさや治療経験の少なさから積極的使用は推奨されていなかった。筆者自身も2009年のH1N1
インフルエンザ・パンデミックを経験するまでは,呼吸不全にECMOを使用することはなかった。
H1N1インフルエンザ・パンデミックでは,世界的に多くの重症例にECMOが使用され,高い生存率が報告された。オーストラリアとニュージーランドからの報告では,重症H1N1インフルエンザ肺炎患者68例にECMOを使用し,ICU退室率は71%,調査終了時点での死亡率は21%であった。また,多くの日本人医師が,のちに大きく師事することになるスウェーデンのKarolinska大学ECMOセンターにおいては,その生存率は90%以上であったと報告されている。その後,2009年のH1N1インフルエンザ・パンデミックにおいて,重症呼吸不全へのECMOは治療効果があると判断され,呼吸不全に対するECMO治療は世界的に見直されることになった。
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