特集 中毒
Part 2 診断と治療のアプローチ
【コラム】The Gap—3つのギャップを理解して診断につなげる
小松 孝行
1
Takayuki KOMATSU
1
1順天堂大学医学部附属練馬病院 救急・集中治療科
pp.556-563
発行日 2017年7月1日
Published Date 2017/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102200412
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中毒診療において重要なことは「中毒である可能性を念頭においた診療をする」ことに尽きる。そのうえで,病歴聴取や身体所見,さらにはトキシドロームの概念が重要となり,時に傷病者発見現場周辺にヒントが隠されていることも多い。一方,事前情報が不明で,目撃者もなく傷病者本人が意識障害を呈している場合は,検査所見を最大限に活用して原因を特定することになる。その際に,特に正常から乖離している存在に気づくことで,診断の一助になるケースは少なくない。本コラムでは,そのような中毒診療において必須な「乖離=gap」である,アニオンギャップ,浸透圧ギャップ,サチュレーションギャップに関して解説する。
Summary
●事前情報が不明でも,アニオンギャップ,浸透圧ギャップ,サチュレーションギャップを用いることで,中毒物質・原因を類推することができる。
●アニオンギャップはアルブミンやリン酸の値によって補正する必要がある。
●少しでも中毒を疑った場合には,実測の浸透圧を必ず確認する。
●パルスオキシメータの原理を理解し,その限界を常に念頭において診療すべきである。
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