今月の主題 新しい不整脈診療
新しい用語の解説と臨床例
excitable gap—心房粗動の考え方
井上 博
1
1東京大学医学部・第2内科
pp.15-17
発行日 1989年1月10日
Published Date 1989/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222262
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●心房粗動の機序とexcitable gap
心房粗動の機序として,従来より異所性自動能元進と興奮旋回(reentry)の2説があり,後者はmacro reentryとmicro reentryに分けられる.その興奮旋回路に外からの刺激が入り込める余地(excitable gap,すなわち期外刺激で粗動周期が影響される)があるか否かについては議論が分かれていた1,2).
Mines(1914)は心筋の輪状標本を使い興奮が旋回することを示したが,これはmacro reentryの代表的な例で,解剖学的な障害(興奮が伝導しない部分)の周囲を興奮が旋回するものでexcitablegapがあるとされる.Allessieら(1977)は,微小電極を用い兎の心房筋標本で,興奮旋回には固定した旋回路がなくとも興奮が不応期を脱した部分を次々に伝わり機能的にとりうる最小の旋回路を作り,その中心部分は常に不応期に入っているとするmicro reentryの概念(leading circle concept)を提唱した.このモデルにはexcitable gapがないとされる.表にこれらの特徴を示した3).
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