呼と循ゼミナール
房室伝導における"GAP"現象
中田 八洲郎
1
1順天堂大学医学部内科循環器
pp.480
発行日 1976年6月15日
Published Date 1976/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202908
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房室伝導における"gap"については,すでに1965年Moeらが犬における実験でその存在を示し,ついで1968年Durrerはヒトの心臓においてもこの現象の存在することを報告している。この"gap"とは一定の基本調律(洞調律)下において心房性期外収縮が発生した場合,Iate diastoleに発生したものは心室へ伝導されるが,連結期が短縮しある限界値に達すれば心房の興奮はもはや心室へは伝導されず非伝導性心房性期外収縮となる。ところが,さらに連結期が短縮した場合に房室伝導が回復し心房興奮は再び心室へ伝導されることがある。このように心周期の一定期間房室伝導が途絶する場合これを房室伝導における"gap"と称する。Damatoらはこの現象をHis bundle electrogram (HBE)を用いて広範な研究を行いその機序に関して明快な説明を加えた。
房室伝導における興奮伝導は房室結節,ヒス束,右脚,左脚,プルキンエ線維といった電気生理学的に異った性質を有する組織を介して行われるが,それぞれのeffective refractory period (ERP)は異るため連結期が短縮していけば伝導途絶はこれらのうち最も長いERPを有する部位で生じる。
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