特集 ICUエコー
Part 2 Intensivistに求められる超音波診断
循環器系
10.エコーによる輸液反応性の評価
園生 智弘
1,2
Tomohiro SONOO
1,2
1日立製作所日立総合病院 救急集中治療科
2東京大学大学院医学系研究科 救急医学
pp.101-107
発行日 2017年1月1日
Published Date 2017/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102200355
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循環血液量の70〜80%は静脈系に存在するとされており,そのなかでも体表からのエコー画像で容易に観察できる静脈として,下大静脈(IVC),内頸静脈(IJV),大腿静脈(FV),鎖骨下静脈(SCV)が挙げられる。循環血液量の評価に最も使用されているのはIVCと考えられるが,IVCでなくても中心静脈カテーテル挿入時のIJVやFVのエコー画像をもとに,「静脈ペッタンコだから水ないんだろうね,輸液負荷してみる?」といった会話がベッドサイドでは交わされており,我々は静脈内血液量を可視化することで直感的に循環血液量の推定や輸液反応性の予測を行っている。一方で,この直感的な判断の信頼性に関して,集中治療医は熟知しておく必要があるだろう。本稿では,静脈系のエコー画像による評価の文献的根拠を中心に概説していく。
Summary
●循環血液量の評価は,下大静脈(IVC)のエコー画像も含めた各種指標の総合判定による。
●IVCのエコー画像による循環血液量の推定や輸液反応性の予測は非侵襲的であり,臨床的,教育的意義が大きい。
●IVC径そのものよりも,動的指標である呼吸性変動が輸液反応性を相対的に高い精度で予測するとされている。
●IVC呼吸性変動の測定上の問題点を克服し得るものとして,内頸静脈の測定や心拍変動などが注目されている。
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