特集 産科ICU
【コラム】遺伝子組換え活性化第Ⅶ因子製剤はいつ使うか
野口 翔平
1
Shohei NOGUCHI
1
1聖隷浜松病院 総合周産期母子医療センター 周産期科
pp.388-390
発行日 2016年4月1日
Published Date 2016/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102200277
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
本邦での妊産婦死亡は年間40件(2014年)であり,その原因の約23%が産科危機的出血1)とされている。近年,産科危機的出血に対する遺伝子組換え活性化第Ⅶ因子製剤(ノボセブン)の使用が注目されている。
産科危機的出血に対するガイドライン2)では,高次施設への搬送,迅速な輸血,抗播種性血管内凝固症候群(DIC)治療,出血原因の除去,経皮的動脈塞栓術,外科的止血(子宮動脈結紮術,子宮縫縮術,子宮全摘術など)が対処方法として推奨されているが,ノボセブンに関する具体的な使用は述べられていない。産婦人科診療ガイドライン─産科編20143)では,産科危機的出血時のDIC治療において,アンチトロンビンなどの治療に抵抗性の場合にノボセブンの使用について言及されている。
ノボセブンは,インヒビターを保有する先天性血友病,後天性血友病および先天性第Ⅶ因子欠乏症,Glanzmann血小板無力症に保険適用がある製剤である。近年,外傷分野においても,止血効果が示され4),産科危機的出血に対しても効果が示されてきている5)。本稿では,産科危機的出血に対するノボセブンの使用について述べる。
Summary
●産科危機的出血に対してノボセブンの有用性が示されている。
●ノボセブンは傷害部位特異的に作用しトロンビンの多量産生を行う。
●ノボセブン投与前には十分な血小板とフィブリノゲンの補充を行う。
●ノボセブン投与時には,体温・血中カルシウム濃度・動脈血pHなどの状態にも留意する。
●投与後は血栓症の発症に注意する。
Copyright © 2016, MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD. All rights reserved.