特集 ゲノム編集革命:遺伝子改変はZFN・TALEN・CRISPR/Cas三強時代へ
せるてく・あらかると
遺伝子組換え技術を一過的に活用して育成した生物の取り扱い
鎌田 博
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1筑波大学遺伝子実験センター
pp.570-571
発行日 2013年4月22日
Published Date 2013/4/22
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私がこの原稿を書く羽目になったのはこれまでの度重なる偶然に起因する.1980年代初めから遺伝子組換え生物の取り扱いに関する様々な規則作りに偶然関わり続けてきたのだが(正確には関わらざるをえなかった),2010年12月のある日農林水産省内で開催されたEUの研究者との遺伝子組換え技術の社会的利用に関する意見交換会に呼ばれた.その会の最後,EUでは2007年から新しい遺伝子操作技術に基づく植物育種(New Plant Breeding Techniques;通称,その頭文字をとって『NBT』と呼ばれている)について検討しているが,日本ではどんな検討が行われているかと聞かれ,農林水産省の行政担当官・研究者が多数参加していたが,たまたま参加していた私が意見を求められた.遺伝子組換え植物を台木とし,既存の非遺伝子組換え有用品種を穂木として栽培する事例について,カルタヘナ法や遺伝子組換え食品としての安全性確保の観点から回答したが,このことがきっかけで翌年2011年秋スペインで行われたNBTに関する国際ワークショップに招聘されることになってしまった.
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