特集 内分泌・代謝・電解質
7.マグネシウムの異常—マグネシウムの欠乏とさまざまな疾患・病態に対するマグネシウム製剤の使い方
蒲地 正幸
1
,
相原 啓二
1
Masayuki KAMOCHI
1
,
Keiji AIBARA
1
1産業医科大学病院 集中治療部
pp.537-544
発行日 2015年7月1日
Published Date 2015/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102200188
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本稿では,マグネシウム(Mg)欠乏を疑うべき臨床症状・徴候と血清・尿中Mgの測定,Mg補充の適応と方法について,エビデンスを基に解説する。また,Mg欠乏以外の疾患・病態に対するMg製剤の投与についても,その適応と治療効果を概説する。
Summary
●血清tMg濃度,iMg2+濃度は,いずれも体内のMg欠乏の鋭敏な指標ではない。
●尿中Mg排泄量の測定やMg負荷試験は,体内のMg欠乏を知るうえで有用である。しかし,腎障害や薬物などによる影響を受けるため,結果の解釈には注意が必要である。
●低栄養,食事摂取不良,頻回の下痢や嘔吐,利尿薬など,腎臓からMg排泄を促進する薬物を使用しているときは,低Mg(iMg2+)血症がみられなくてもMg欠乏を疑う。また,低K血症や低Ca血症を呈しているときにも,Mg欠乏の可能性を考える。
●血清tMgとiMg2+との間に相関関係は認められるが,重症患者では解離することも多い。
●症状を伴う低Mg(iMg2+)血症は迅速な補充が必要である。症状がなくてもMgはさまざまな生体機能を維持するうえで重要であり,tMg>1.5mg/dLを保つように補正をすべきといわれている。しかし正常値を維持するという意味での補正であり,臓器障害や予後との関連などについて明確なエビデンスはない。
●子癇や重症の気管支喘息発作,不整脈,重症の破傷風などは,Mg投与の有効性に関するエビデンスがあり,実際に使用されている。
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