技術講座 生化学
マグネシウムの測定
狩野 賢二
1
,
柴田 宏
1
1島根医科大学附属病院検査部
pp.317-321
発行日 2001年4月1日
Published Date 2001/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543905769
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新しい知見
マグネシウムはイオン化マグネシウム(Mg2+)の形で生理活性を有し,生体内の種々の反応に関与している.近年,Mg2+測定用のイオン選択電極を用いた測定機器CRT8(NOVA biomedical,USA)が開発され,循環器領域の各種疾患におけるMg2+,と病態との関連が報告されるようになった.それによると,急性心筋梗塞症は0.42±0.07mmol/l,不安定狭心症は0.46±0.05mmol/lであり,虚血性心疾患患者の血中Mg2+濃度は,健常者の血中Mg2+濃度0.54±0.06mmol/lに比較して低値であった.また,その低下度は疾患の臨床的重症度に依存していると報告されている.さらに,透析患者で特に慢性糖尿病群における脂質代謝異常,大動脈石灰化の成因にMg2+が関与していることも報告されている.イオン選択電極測定機器CRT8は検体血清のpH調整が必要で,測定が煩雑なため,日常検査への応用は容易でないと思われる.しかし,血中Mg2+濃度のモニタリングは,病態の適切な把握と治療手段の選択にも有用であることから,今後の普及に期待したい.
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